受講者レポート
◾️2026年3月14日俳優クラス⑲
演出家実習
講 師:三谷一夫
ゲスト:上田誠(ヨーロッパ企画・演出家・脚本家)
アジアシネマアカデミー俳優クラス、最後のゲストにヨーロッパ企画・脚本家・演出家・監督である上田誠さんをお迎えしてのワークショップだった。
上田さんが大学1年生の時に劇団のサークルを立ち上げたものが今のヨーロッパ企画で、劇団だけではなく『ドロステのはてで僕らは』『リバー、流れないでよ』などの映画にも携わっているため、演劇と映画を絡めてのお話がたくさんあった。その中で、「映画は世界線を意識した方がいい。演劇が日本以外でやっていても脅威にはならないが、映画や映像はある部分で世界一だったり、国外で撮られた映画が良かったら自国の映画と比べられてしまう。」という言葉が印象に残った。また「構造は海を越える」という言葉も印象的だった。
上田さんはパズルっぽい構成が得意で、それを活かせば予算がなくても構造で戦うことができると話していた。実際に京都で撮影された『リバー、流れないでよ』は2分間がタイムリープするというシンプルな設定だが、その構造の面白さが日本よりもフランスの方に集客を集めた。その他にも「構造」を意識した作品をいくつか見せてもらい、脚本上や構造での工夫が面白さを生み出すことを知った。
ワークショップ中盤からは実際に「構造」を意識した短編を撮影した。脚本は上田さんが受講者1人1人に当て書きをしてくださり、以前にゲストで来てくださった武村さんが撮影を担当してくださり短編を作っていった。
狭い空間に大人数での撮影だったため、自分がどのタイミングで動けば違和感なく映れるのかだったりカメラの動きを良く見ながら動く必要があったため、「構造」を意識した作品での撮影も人と人との連携がとても重要だなと感じ、今までの作品の構造とは違っても、自分の芝居だけではなくカメラやその他の空間、他の俳優との関係性の中で作品が出来上がっていくことを実感した。何テイクも重ね、撮影が終了した後実際に観てみると、想像を上回る「構造」を意識した面白さが映っていた。
最後には舞台と映画の違いについての話があった。舞台役者は稽古期間から千秋楽まで、長く作品作りに関わることに対し、映画俳優は撮影から撮影終わりまでという短い稼働時間になってしまう。だから「待ち」の俳優が多くなってしまう。いかに芝居以外のことで何ができるのか、自分で誘ってみたり自分から動くことができるのかが重要だという話があった。
また、映画と舞台の終わり方について、舞台は最後に人数が増えていった方が良く「耳や音」a由来に対し、映画は一つのことに向かっていく方が良くセリフよりも所作や佇まいなど「画」由来であるという話もあった。似ているようで似ていない舞台と映画。元々演劇をやっておりそこから映画を始めた上田さんから聞くお話は新鮮で、人の集まりで力を合わせて何かを作ることの楽しさを知ることができたワークショップだった。