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受講者レポート

第2期レポート

2026年5月9日〜2026年9月27日

テーマ:オリエンテーション/京都の映画史(俳優クラスとの合同授業)
講 師:三谷一夫
ゲスト:吉田馨(元京都映画祭事務局長)

映画人養成スクールアジアシネマアカデミーの第2期が2026年5月に始動した。初回は俳優クラスと企画脚本クラスの両クラスが集まった。

オリエンテーションから始まり、レギュラー講師の三谷さんやスタッフの挨拶があった後、第2期生の自己紹介が始まった。
1期と同様、受講者には事前に自己紹介シートを作成してもらい、今回もそれぞれの人となりがよく分かるものになっていた。

このアジアシネマアカデミーを受けた動機として「前に芝居をやっていたことがあってもう一度やってみようと思った」「何も経験はないけど芝居がしたくて応募してみた」「普段は会社員だけど、別の人間になってみたい」「短編を撮りたい」など参加理由は様々だった。これから俳優クラスは全20回、企画脚本クラスは全10回、ここで出会った仲間たちとたくさんのことを学んでいきたい。

オリエンテーションと自己紹介が終わった後は、早速第一回のゲストである吉田馨先生をお迎えして、京都の映画史についての授業が行われた。第1期の時にも吉田先生から京都の映画史について学んだが、授業で取り扱われた映画が前回とは違い、また新しい歴史を学ぶことができた。

また、日本映画発祥の地が会場の近くに位置していたり街全体が撮影所であったことから「京都には日常の中に映画がある」のだと再認識した。配られた資料には映画の歴史について細かく書かれており、とても興味深いものがたくさんあった。2時間にわたり映画史を学んだ後、受講者たちから質問がいくつもあり、受け取るだけではなく自身が感じたことを共有し合い、とても深く学びのある時間となった。

人数が少ないからこそ、自分の持った意見を発信し、互いに高め合える時間にしていきたい。そして第2期では1期とは違うゲストも予定されているので、これからどんな新しいことを学べるのかが楽しみだ。

グループ発表会
講 師:三谷一夫

俳優クラス初回は『夏がはじまる』の脚本読解を経ての芝居に取り組んだ。

脚本読解に取り組む前に「ものづくりの感覚を養う」「自分の頭で考える」「自分の言葉を持つ」をテーマに話が進められた。映画の現場にはどんな部署があるのか、企画脚本にどれぐらいの年数を要するのかなど、俳優はただ芝居をするだけではなく俳優が現場に入るまでに行われることをちゃんと知ることが大切なのだという話があった。

また、俳優は日常でも芝居する数を重視しがちだが、そうではなく色々な本や脚本を「読む」色々な映画を「観る」色々な音楽や人の話を「聞く」というインプットが重要であるということも学んだ。三谷さんから、「脚本は映画の設計図なので脚本をもらったら‘‘設計図をもらった’’と考えること、読みとく深さが俳優の質を決める」と話があり、俳優がいかに短い期間で脚本を読み込みどれだけのものを準備していけるかが重要なのだと学んだ。この話を経て、脚本読解へ。脚本を読み込むためにはこの話の主人公は誰なのか、話の3行ストーリー、主人公の葛藤など考えることは様々。

今回の『夏がはじまる』では受講者全員が主人公を「ななえ」と捉え、それぞれの言葉で3行ストーリーを共有していった。次にななえはどんな人なのかという人物像について考えた。ななえに限らず、人物像は3個4個で収まるものではない。少なくても10個挙げることが大切で、多面的に考えることが芝居にもつながっていく。人物の葛藤について、外的葛藤は脚本には書かれているが、内的葛藤については脚本に書かれていないため難しく、行き詰まっていたが、受講者それぞれがしっかりと言葉にして考えを共有できていた。

脚本読解を経て芝居へ。 ななえと姉のみほとのシーン。全体的にしっかりとお互いを受け取り切れておらず芝居が流れてしまっている印象だった。2人の関係性をよく考えることや、芝居が始まってからの時間を大切にすることなどアドバイスがあった。 脚本読解は答えを探すためのものではなく、自分の頭で考え、言葉にすることが大切だということが芝居をすることでより実感できたのではないだろうか。受講生がこれからの全20回でどう変わっていくのかが楽しみだ。

テーマ:映画業界/映画ビジネス
講 師:三谷一夫

企画・脚本クラスの初回は、去年の日本映画ベスト10には何がランクインしているのか、1年間の映画製作本数、興行収入の内訳など「映画業界・映画ビジネス」をテーマに、三谷さんによる基礎知識の授業だった。

始めに、去年の日本映画ベスト10には何がランクインしているのか受講者たちで考えていく。「コナン」や「ドラえもん」『国宝』などが挙げられ、それらがランクイン。他の作品には「ガンダム」「鬼滅の刃」などアニメ映画が多くランクインしており、半分がアニメ映画で占めていた。また、日本で製作された694本のうち東宝が69%の31本、松竹・東映が28%の67本、その他の会社が残りの596本を占めている。東宝に関しては、31本で全体の69%を占めているので1作品の影響がどれだけ大きいのかを実感した。

次に映画ビジネスについて、「製作」と「制作」の違いについての話があった。「製作」は企画・資金・配給・宣伝などの権利を持ってビジネスにしていく役割を持っており、制作は脚本・キャスト・納品などの役割があると知った。これらの映画業界や映画ビジネスについて、今までは聞いたことのある言葉だけだったのが、その内容や違いについて知ることで少しは映画や映画製作についての知識が深まったのではないだろうか。

最後には企画・脚本クラスの受講者がどんな企画を考えているのかについての話があった。俳優クラスのみんなを当て書きしたものや、モキュメンタリー、タクシーの中での会話劇、AIを使ったものなどたくさんの企画案が出てきた。

今回は1期と違って、脚本をたくさん学ぶ時間があるので、脚本を完成させて撮影段階までいけるといいなと思う。また、三谷さんからは「将来、脚本家やプロデューサーにシフトしろということではなく、俳優自身も脚本を書くことで自分と向き合うことができるので、俳優クラスの人も脚本を書いてみて欲しい」とコメントがあった。 これからの授業でも映画業界のことを知りつつ、脚本を学びいろんな可能性を知っていけたらなと思う。

映画監督実習①
講 師:三谷一夫
ゲスト:風間太樹(映画監督)

最初に風間監督から「演出では芝居の技術を教えるのではなく役者と対話をすることで役と向き合ってもらっている」「自分をどう使っていくか」「自分自身をうまく使って欲しい、自分自身の葛藤や経験を役に向けて欲しい」など、「俳優が撮影現場で演じるまでの準備や監督との関わり、役を共に作り上げていく過程に触れること」をテーマに話があった。

「俳優が現場に立つまで」に関しては、衣装合わせや本読みがある。ここではただ衣装を合わせるだけではなく、監督と俳優がお互いに歩み寄って話す機会でもあるので、俳優は衣装合わせまでに脚本をしっかり読み込むこと、色々な意見を言うと嫌がられたり怖いと思うかもしれないけれど、自分を助けるつもりで分からないことはしっかりと聞くことが大切だと学んだ。本読みでは俳優の声の特徴や、本読みで隆起する感情の点を作っておくことを目的としていると話があった。

他にも「魅力的な俳優とは」や「カメラの前に立つこと」「自分なりを獲得すること」にも焦点を当て、いくつもの内容の濃い話を聞くことができた。芝居を始める前に、俳優自身の苦手な状況や苦手な人、居心地がいい人、課題脚本の登場人物で似ている人や共感できる人など、監督と俳優の共通言語を獲得するために受講者1人1人との面談が設けられた。これらを経て、芝居へと移った。課題シーンは、男女の日常的な会話と、同じ場所に居合わせた男女が初めて会話をするシーンの2つ。映画の撮影ではいきなり本番ではなく、その前に段取りというものがある。その段取りを行ってから、受講者たちの芝居に入っていった。

1度芝居をした後に監督が演出をしていく。隣に座るのではなく対面に座ってみよう、セリフ間はあけずにつめてみること、相手が脚本に書かれていない行動をした時にしっかり反応することなど、受講者それぞれに違った演出がされていたので芝居する人ごとに見え方が違い、見る側も学ぶことがたくさんあった。また「言葉のトーンとペースではキャラが作れてるけど、深みはない」「間延びしてしまうと何を見せたいのか分からなくてカットされてしまう」など、自分自身のキャラクターだけを考えるのではなく2人の関係性をもっと考えることや、間の取り方にもアドバイスがあった。

最後に風間監督からは、監督と俳優がコミュニケーションを取ることでお互いが歩み寄り、俳優の知らずに出てくる個性やどう演出と向き合うのか。また、自分を通って表現される機微、俳優自身が「弱い」「嫌い」「苦手」な物事を自己理解することなど話があり、自分自身をうまく使うこと、対話をすることや自分自身と向き合っていくことの大切さを実感できたワークショップとなった。

映画脚本読解(基礎)
講 師:三谷一夫

今回は前回の『夏がはじまる』の登場人物についてを考えたり、新しい課題である『父のこころ』を用いての脚本読解の授業だった。脚本読解を始める前に、先週の芝居を通してや、風間監督のワークショップを受けて気づいたことを受講者同士で共有した。

「初回の自分の反省点を見てそれを直そうとしてしまったらセリフを読んだだけになってしまった。セリフを読むことに一生懸命になってしまった」「この前よりかは相手を意識してできた」「自分の性格が滲み出てしまっているからどう役に振り切っていくのかを考えていきたい」など、このアカデミーが始まって芝居をしたのはまだ2回だが、それぞれがよく自分の課題について考えられていた。

本題の脚本読解へ。まず『夏がはじまる』の役の核心を掴むために、性格や背景・履歴やエピソード・寝る前に何を呟くのかの主に3つの項目に分けて考えていった。この中でも人物の履歴や呟きを具体的に考えることが重要になってくる。母と父が出会ったエピソード、ななえと姉の幼い頃のエピソードなど、脚本に書かれていないことを想像して受講者それぞれがしっかりと言葉にしており、役の核心をだんだんと掴んでいった。この役の核心について考えることはこれから向き合う脚本全てで行っていき、芝居に繋げていきたい。

次に『父のこころ』の脚本読解へ。この脚本でも主人公は誰なのか、それを元に3行ストーリーや主人公の葛藤、目的、肝となるシーンを考えていく。主人公は父の健一と捉えた受講者と宏志と捉えた受講者に分かれた。このように主人公を誰と捉えればいいのか迷ってしまった時は「作り手は何を観客に見せたいのか」を考えること、と言った話があった。そのように考えると、今回は宏志を主人公として捉えて読解を進めていくことになった。宏志の核心を掴むために、宏志はどんな人なのか、どんな仕事をしているのか、暮らしはどんな暮らしなのか、家族と暮らしているのか1人で暮らしているのかなど、具体的に考えていく。次に葛藤を考えていくが、いつも行き詰まってしまうのは内的葛藤。内的葛藤をきちんと捉えきれていないと、芝居の揺らぎに繋がっていかない。

また脚本全体で肝となるシーンがどこなのかも俳優はしっかりと分かっておかないといけない。そして『父のこころ』は何を描いた話なのかについて考えていくと、家族の話や親子の話という意見があったが、ここについても具体的に考えていかないといけない。『父のこころ』は父と息子の話であり、家族の話であることも親子の話であることも人間ドラマであることも確かだが「家族の話」と「父と息子」との話とでは大きく違ってくる。三谷さんからは「俳優が揺れているところが一番みたい。俳優は気持ちを準備していきたいと思うけれど。何を見せたいシーンなのかをしっかり抑えて現場に入る。そしてそこで起きる俳優との芝居で気持ちの揺らぎが出ればいい。オーディションではセリフを完璧に言えるかどうかを見ている監督はいない。俳優の気持ちが揺れているのかどうか」という話があった。今回の脚本読解を通して役に向き合う際、脚本に対しても役に対しても具体的にしっかりと考えていくことの大切さを強く実感した。

テーマ:脚本基礎①
講 師:三谷一夫
ゲスト:安田真奈(映画監督・脚本家)

映画監督実習②
講 師:三谷一夫
ゲスト:足立紳(映画監督・脚本家)

映画脚本読解(基礎)+演技実践
講 師:三谷一夫

テーマ:脚本基礎②
講 師:三谷一夫
ゲスト:安田真奈(映画監督・脚本家)

今回は映画監督・脚本家の安田真奈さんをお迎えしての授業だった。脚本を書く上で「キャラクター設定の基本(外面・内面)」「キャラクターの魅力とは」「脚本構成」を主に話があった。

「キャラクター設定の基本」では名前や年齢や性別はもちろん、その人物の家庭環境や苦手なこと、生い立ちや幼少期のエピソードなど、私たちがこれまで生きてきたように脚本の人物も映画の中ではどんな人なのかや内面設定(履歴)をしっかりと考えることが大事だと学んだ。

キャラクターを魅力的にする時に気をつけたいのは、主人公がゴールに向かって進むのを観客が見続けたくなるように設定すること。観客が観た時に「脇役が面白かった」だけの感想になってしまうと良くなく、主人公のドラマを一番大切に作り上げることが大切だという話があった。脚本構成に関して、起承転結の他にも「発端」「中盤」「結末」で成る三幕構成というものがある。発端では状況設定、中盤では葛藤や対立、結末では解決。

安田さんから「飽きさせない物語は山と谷がしっかりとある。脚本を書くにあたって映画を観ている時に中盤の葛藤や対立で、印象的なことが何個起こっているのかを見るといい」とあった。次に、オリジナル映画の脚本を書くにあたっての話があった。安田さんが近畿大学からの依頼を受けオリジナルで書いた『TUNAガール』。取材で大事なのは、取材の時間は限られているので基本的なことは事前に下調べを行い、取材ではその人が何に悩んでいるのか「生もの」の声を聞くこと。いかに熱意と敬意を持っていけるかが大事だということも学んだ。

最後には受講生が考えている5分の物語についての発表があった。各自が作品の概要やテーマ、登場人物の設定などを紹介し、安田さんから意見やアドバイスを受けた。発表を通して新たな視点や改善点が見つかり、物語をさらに深めるためのヒントを得ることができた。

映画監督実習③
講 師:三谷一夫
ゲスト:松野泉(映画監督・録音技師)

今回のゲストは第1期にも来てくださった、映画監督・録音技師の松野泉さんをお迎えして「よく聴く」をテーマにしたワークショップを行った。

最初は「体育座りで背中合わせになり、手を使わずに相手を感じて立ってみる」というワークを行った。相手をしっかり感じることができれば、掛け声がなくても立てるようになり、人数を増やしても立つことが簡単にできた。

次に、2人1組になり片方がお題を見て、そのお題の言葉を使わずに相手に会話だけでお題を引き出すというワーク。3組に渡された「待つということ」「嘘」「手」というお題は話す方も受け取る方も会話で引き出すのはとても難しく感じた。

次に、誰かに手紙を書きそれを発表する。自分の手紙ではない手紙を電話をする形で電話相手に読む、というワークを行った。他人の書いた手紙をどのように自分に関係付けていくかが重要で、手紙の背景にある人物像や関係性を読みとる面白さを学ぶことができた。

いくつかのワークを経て本題の「よく聴く」をテーマに入った。まず、松野さんから「4分33秒を演奏します」とあった。演奏が始まっても音は鳴らず、その場に聞こえる空調の音や車の音だけが鳴っておりあっという間に「4分33秒」は終わってしまった。「4分33秒」というのは環境音を「音楽」としているものであり「音楽」は始まるものだと思っているけれど、その場に存在するたくさんの音を含めて音楽と捉えられるのだと感じた。また、1分間環境音を聞いて何が聞こえたかを共有した時に、雨の音やボールペンと紙が擦れる音、通り過ぎる人の声などたくさんの音が聞こえた。聞こえた音を言葉にしてみると「雨の音」や「人の声」といった抽象的な表現になってしまうが、実際の音はとても具体的。「雨の音」と一言で表しても、それは水滴が地面や傘に当たる音であって「雨の音」ではない。人間の容姿が1人1人違うように、音も1つ1つ違うという捉え方を学び音に対する新しい見方をすることができた。 今回は脚本を用いたワークショップではなかったが、「よく聴く」ことを通じて芝居につながるものにたくさん気が付いたワークショップだった。

映画脚本読解(中級)
講 師:三谷一夫

今回は『マイスモールランド』の芝居と『わたしのお母さん』の脚本読解を行った。

本題に入る前に、昨日の松野さんのワークショップを受けての受講者の振り返りが共有された。「音の意識は今まで持ってこなかったから、作品の新しい見方が増えた」「音を意識してみることでこんなに音があるのかと気がついた」「即興でストーリーを作ることの難しさを実感した」などの感想が挙げられ、受講者それぞれが普段とは異なる視点で音や芝居についてを考える良い機会になった。

振り返りを経て本題へ。今回の芝居課題である『マイスモールランド』。サーリャがドイツ人ではないと聡太に打ち明けるシーンと、2人が河原で話すシーンの2シーンを用いての芝居だった。全体的にこのアカデミーが始まった最初に比べて芝居が削がれていき、その場の空気感を大事にできている印象だった。しかし、1人で芝居をしてしまっている瞬間や相手が見てくれているのにそれを無視してしまっているなど、課題はあった。また、セリフの後にある「・・・」の意味をしっかり分かっていないと芝居が大きく変わってしまうため「・・・」は単なる間ではなく、セリフがあるとしたら何を言うのかを良く考えることが大切だと学んだ。

『わたしのお母さん』では脚本読解のみを行った。いつも通り、この話の主人公は誰なのか、この話の3行ストーリーを共有していく。受講者全員が主人公を夕子と捉え、読解を深めていった。主人公の願望を邪魔している外的・内的要因についてもそれぞれの言葉で考えてきたことを言葉にできていた。この脚本読解は決して答え合わせをするものではないので、お互いに考えてきたことを共有して役を深め芝居に繋げていくことを大切にしていきたい。この夕子という人物は母親のことをどう思っているのか、その周りの人物は母親のことをどう思っているのか、しっかりと考え次回の芝居に繋げていきたい。

テーマ:脚本基礎③
講 師:三谷一夫
ゲスト:安田真奈(映画監督・脚本家)

今回も前回に引き続き、安田真奈監督を迎えての脚本について学んだ。

「キャラクター設定の基本」では名前や年齢や性別はもちろん、その人物の家庭環境や苦手なこと、生い立ちや幼少期のエピソードなど、私たちがこれまで生きてきたように脚本の人物も映画の中ではどんな人なのかや内面設定(履歴)をしっかりと考えることが大事だと学んだ。

最初に、安田さんが監督した『あした、授業参観いくから。』の脚本を用いた。この話は5つの家庭を舞台に、セリフは同じでも人物の設定や家庭環境によって異なる物語が生まれる短編映画。受講者それぞれも設定やト書きを変えて新しく物語を作ったものを発表していった。セリフは同じでも、人物設定やト書きを変えるだけで多種多様な物語が生まれ、作品の印象が変わることを実感できたワークだった。監督がこの作品を撮った時は、人物の背景を考えながら家の雰囲気を考えたり照明についても照明部の方と話合ったり学校を決める時は、親子についての話だしどれだけ荒れている家庭でも授業参観に行くということは愛情があるだろうということで、親子についての温かい愛情が伝わるように選んだという話があった。

次にキャラクターとセリフの関係について。セリフはただ文章を書くのではなく、作者が言わせている感じにならないように、その人物や状況に合わせてみて一度自分で読んでみることが大事。また、セリフは言葉通りの意味とは限らず、状況や心情によって意味は変わることやセリフがなくても感情の表現は「・・・」やト書きで動きを添えるなど、言葉は慎重に使ってみる、などアドバイスがあった。

これから受講者が5分のシナリオを書いていく。シナリオの素材の見つけ方やそのアイディアをどのように物語に変換するのかについての話があった。身の回りに起きたことで感動したことや面白かったこと、怖かったことなどから、何を描きたいのか?何を伝えたいのか?を考えていく。ここで普段から書きたいと思っていることをストックしておいて、最近あった事を組み合わせてみると良いとアドバイスがあった。 全3回を通して脚本の構成や人物設定、アイデアを物語に発展させる方法などたくさんのことを学ぶことができた。これらの学びをシナリオ制作に活かしていきたい。

映画監督実習④
講 師:三谷一夫
ゲスト:中川龍太郎(映画監督・脚本家)

映画監督実習⑤
講 師:三谷一夫
ゲスト:中川龍太郎(映画監督・脚本家)

テーマ:ショートドラマ(5分)レビュー
講 師:三谷一夫

今回は受講生が書いてきた脚本をお互いに読みあって、レビューした。練習用で脚本を書いた受講生もいれば、実際に映画にしてみたいと思い脚本を書いた受講生、俳優クラスからも脚本を書いた受講生もいた。

それぞれの描きたいものには「AI」や「哲学」、自身の体験や人よりも場所を描いたものなど様々。前回まで講師として来て頂いた安田監督の『幸せスイッチ』や『あした、授業参観行くから。』を参考にしている受講生もいた。

AIはどのように存在しているイメージなのか、セリフが多い会話劇では映像にした時にどう楽しむのか、セリフを汲み取る時間を作れるのか、登場人物を死なすのはもったいない!など1人1人の企画や脚本について、意見をたくさん出しあっており、作品がさらに面白くなっていく予感がした。

脚本を書いたのは初めてだという受講生が多かったが、どの受講生もこれまでの授業を活かし取り組んでいた。実際に撮影に入ろうとしている受講生もおり、脚本がどのように作品として形になっていくのか楽しみだ。

「なぜこの企画をやりたいのか、自分がこれを作品にする必要があるのだという想いを持った企画は強い」と三谷さんからコメントがあった。誰でも書けてしまうようなものではなく、自分の経験から生まれるものと向き合っていきたいと思う。最後には受講生が考えている5分の物語についての発表があった。各自が作品の概要やテーマ、登場人物の設定などを紹介し、安田さんから意見やアドバイスを受けた。発表を通して新たな視点や改善点が見つかり、物語をさらに深めるためのヒントを得ることができた。

映画監督実習⑤
講 師:三谷一夫
ゲスト:谷口正晃(映画監督)

今回は第1期にも来てくださった『時をかける少女』『父のこころ』の監督である谷口正晃監督をお迎えして『父のこころ』を用いての芝居のワークショップだった。

まず初めに自己紹介から始まり、その後に一枚の紙が配られた。そこに書かれていたのは「内面の衝動を拾い上げろ、相手を反射すること、感情の流れを止めるな」というメソッド演技の一つである、マイズナーテクニックについてのものだった。監督からは「自分じゃない自分をどうやったら生きることができるのか、登場人物の感情を追って自分の言葉として発する。やることはシンプルだけど難しい。芝居を固めるのではなく相手をしっかりと反射することを大事にしてほしい」と話があった。

芝居では、父が帰ってきたことが電話でわかるシーンと父と娘が久しぶりに電話越しで話すシーンと父と娘と息子が会って話すシーンの3つのシーンを演じた。最初のシーンでは「資料を慌ただしく確認している」というト書きがあり、その動きがただページをめくるという「形」になっただけの動きになってしまっていたり、その場所(図書館設定)で電話に出ることが適切なのかといったように、置かれている状況や目的を理解した上で芝居をすることの大切さを学んだ。また、2人の関係性を考えられていないことや内面では考えられていてもそれが見えなかったり、その役自身で感じられていないと指摘があった。

2つ目のシーンでは「久しぶりな距離感」や感情をぶつける際にその感情は怒りだけなのか、自分を柔らかく、相手に反応できるようにどれだけ自分を素直に出せるかが重要となった。最後のシーンでは小道具としてビーズのストラップが使用されていた。そのビーズのストラップをみて何を思うのか、ちゃんと小道具を利用して芝居をすることや、娘は父に対して真相を聞いているので勇気を持って話しかけているはず、といったように小道具と人物の関係や人物同士の背景を考えることの重要性を学んだ。 最後に監督からは、人物同士の関係を脚本からしっかり読み解き芝居で相手を感じることを大切にして欲しいと話があった。自分のセリフの時間だけが芝居の時間ではないこと、相手を反射していくことをこれからも大事にしていきたい。

映画脚本読解(中級)+演技実践
講 師:三谷一夫

今回は前回の谷口監督のワークショップを振り返った後、オーディションの模擬練習と『わたしのお母さん』の脚本を用いて芝居を行った。

振り返りでは「もっと感情を出してもいいと言われたけれどそれは大きく芝居をするということではないからその塩梅が難しい」「感受性をもっと豊かにしないといけないなと思った」など。三谷さんからは「“動的”に考えること。人間は常に動いているのに芝居になったら止まってしまう。楔(くさび)を捉えること」という話があった。

振り返りの後、オーディションの模擬練習へ。2つのチーム3人ずつに分かれ、それぞれ監督やカメラ、プロデューサーなど役割やどんな映画の内容かなどを決め、オーディションが始まった。実際のオーディション同様に、スタッフの紹介から始まり次に受けている側の自己紹介へ。趣味や、好きな映画、役者になりたいと思ったきっかけなどそれぞれ、自分なりの言葉で話していく。その中でも審査側が気になった人に質問をしたり、全員に質問をしていく。投げかけられた質問として「苦手な人の特徴とその人との距離の取り方」「最近のムカついたエピソード」「何かを克服したエピソード」など。

オーディションが一通り終わると、審査側の受講者が1人ずつ良かったと思う人、一緒に映画を作りたいと思った人を1人挙げていく。審査側はなぜその人を選んだのか、選ばなかった人の理由を答えていく。審査側の1人1人のコメントがとてもしっかりしていて、自分がどう見られていたのかがよく分かった。三谷さんからは「1日に何組も審査するので、オーディションで話す言葉は具体的に話すことが大切だ」と話があった。

最後には『わたしのお母さん』を用いて3つのシーンの芝居を行った。脚本は何回も改稿して最後に必要なシーンが残るため、残ったシーンではそれぞれ何を伝えたいシーンになるのかを考えることが大切だという話があった。そして前半でも話があった「楔」が見れるかどうか、相手を反射し合うことが大切だということを強く実感できた。

テーマ:映画の企画開発①
講 師:三谷一夫
ゲスト:今井太郎

今回は前回の1期にも来てくださった映画プロデューサーの今井太郎さんをお迎えして「映画の企画開発・製作・配給等」について学んだ。

今井さんはベルリナーレ・タレンツやSEAFICなどの様々な国際ワークショップに参加し、現在ではたくさんの映画製作に携わっている。2021年から2030年の約10年間かけて撮影している『刻』や2023年の『同じ下着を着るふたりの女』や、今年や来年に公開を控えているものが4本程度。これらの作品に共通するものが「監督の想いが詰まっている」こと。

『刻』では10年かけて、監督の実体験をフィクションで撮りたいという想いや『同じ下着を着るふたりの女』も監督の親との実体験を描いたもの。今井さんが始めた会社である「foggy」や「ハラキリフィルムズ」では「監督の想いを観客に届ける」「監督の想いを映画にする」という意味があり「興味本位ではなく監督のパーソナルな部分が入っていると監督が撮る意味があるし、そういう映画に携わりたいと思う」とお話があった。映画のプロデューサーは資金集めや製作の管理をするだけでなく、監督の想いを理解し、その魅力を最大限に引き出して世の中に届ける重要な役割をになっているのだと知ることができた。

今年、今井さんが取り組んだプロジェクトとして、「大阪ショートフィルムキャンプ」というものがある。韓国、マレーシア、フィリピンから映画監督を招聘し、参加者と西九条周辺を舞台に1本の短編映画を脚本開発から上映まで3日間で体験するもの。色んな国からの参加者が集まるため、言語や文化、映画制作に対する考え方の違いを知ることができるだけでなく、それぞれの価値観や視点を共有しながら作品作りを進めることができる。この交流を通して国際的なネットワークを築く機会にもなっていることが印象的だった。

日本に住んでいると邦画に注目しがちだが、国際的に視野を広げると知らないことがまだまだたくさんあることに気が付き、新しく興味を持つことのできた時間となった。

プロのカメラマンを迎えて撮影実習
講 師:三谷一夫
ゲスト:柳裕章(映画監督)

今回は柳裕章監督とカメラマンの武村敏弘さんをお迎えしてのワークショップだった。

脚本は監督が書いたオリジナルのものを使って、登場人物の目的について考えることを重点的に行った。事前に「①この話で一番気になったこと②登場人物はここで何を手に入れたいのか③このシーンで何を守りたいのか④このシーンの全体は序盤・中盤・終盤のどこにあると思うか⑤最後、登場人物たちはどんな関係になるのか⑥この作品全体で登場人物が欲しているものは何か⑦演じたいと思う瞬間はどこか」の7つの課題が渡されており、監督は受講者1人ずつと考えてきたことを丁寧に話し合っていった

話し合いの中では、なぜ?そう思うのか、そうなるのならこうなる可能性もあるのではないか、と1つの項目に対して深掘りをしており、事前に考えてきた時よりも色々考えが深まったような印象があった。監督からは「みんなちょっとずつ読み方が違う。それを大事にしていきたい」「登場人物の目的、その目的の先に何があるのかを掴んで欲しい」と話があった。

話し合いを経て芝居へ。どの組にも言われていたことは「人物の目的を強く掴むこと。根底に流れているものが弱いと軸がブレる」とあった。他にも、人に自分を信じて欲しいと思わせるには何個もやり方があるし、相手に何かをしてほしい時はもっと踏み込んで行かないといけないという事、感情を目的にしてしまわないことなど。目的を掴むということに苦戦していた時もあったが、監督から「ホラー映画に出てくる登場人物の目的はただ生き残ること。目的はシンプルに考える」とアドバイスがあり、解像度が上がったような気がした。

最後に、目的というのは演じることで探ってもいいし、相手から受け取るもので考えることもできる、と芝居で人物の目的を掴むことの大切さをよく実感したワークショップとなった。次の回では実際に撮影を行っていく。受講者それぞれに課題があり、それをしっかりと考え撮影に臨んで行きたい。

オーディションで何が作り手の心を掴むのか
講 師:三谷一夫

今回は前半に模擬オーディションでの芝居、後半に『フラガール』の脚本読解を行った。

前回での模擬オーディションは自己紹介を行ったが今回は審査員は何を見ているのかをテーマに芝居の模擬オーディションが行われた。課題は「夏祭り」。登場人物のAとBは恋人同士、CとDはその友達。夏祭りのイベント会場で歌とダンスの準備をしているB。小さく「おーい」と手を振るA。笑みが溢れる二人。

音楽が流れるが、手違いで用意していた曲とは違う曲がかかる。慌てるもとりあえず踊り出すB。(A,C,Dは曲のことは知らない)下手なりに踊るBの姿に見入りAは泣き「私さ、あの人のこと好きになって良かった」(勝手に身体が踊り出す)という設定のシーンだった。受講者たちは最初は中々このシーンで見たいものを見つけ出すことができず苦戦していたが、何回か繰り返すうちにだんだんと掴んで行った。これとは別にもうひとつ、劇団員として約10年活動している人物たちを設定としたワークショップを行った。物語は、深夜に劇団員たちが病院の待合室へ呼び出される場面から始まる。

劇団員の一人が交通事故に遭い、集中治療室へ運ばれたという状況で、一人の劇団員だけが医師から生死の結果を聞かされる。そして、その劇団員が待合室で待っている仲間たちのもとへ戻り、亡くなったという事実を伝えるという内容だった。ルールとしては仲間に伝える場面、また待合室でその知らせを受ける場面のすべてを、セリフを使わずに演じることが求められた。セリフを使わないとなると、内側に篭ってしまいがちで10年活動してきた劇団員には全く見えない事や、死を告られることは分かっているので最初から悲しみの感情を用意してしまっている、などの課題が見受けられた。双方の芝居とも実際のオーディションでは当日に台本が渡され、瞬時に審査側が何を見たいのかを掴む難しさ、瞬時に内容を汲み取り反応していく大切さを実感した。

後半は『フラガール』の脚本読解へ。いつも通り主人公を誰と捉えたのか、3行ストーリーを発表していく。今回主人公は紀美子とまどかの2人に分かれた。これは1期の時にも意見が分かれていたが、作り手が観客に何を見せたいのかを考えた時、紀美子の話と捉えた方が脚本の確信に近づいていくという結論になり脚本読解を進めて行った。 受講者たちが一番詰まったのは、大事なシーンはどこなのかということ。脚本に書かれているシーンは全て大事なシーンになるが、その中でも物語の肝となるシーンを抑えられていないと芝居にも影響してくる。次回のワークショップではフラガールの芝居に入るので今回の脚本読解でしっかりと抑えるべき目的を抑えて芝居に取り組みたい。

テーマ:短編映画(30分)企画書・プロットレビュー
講 師:三谷一夫

今回は課題で30分の脚本を書いて、受講者全員でレビューを行った。前回のレビューを経て新しい話を書いてきた受講生や前回の続きを書いてきた受講生もいた。

友達の話、家族の話、場の中で生きる人間をテーマにした話など、友達の話の中でも男性同士の話と女性同士の話があったり、家族の話の中でも夫婦と子どもの話や父と息子の話など、同じテーマでも様々な着眼点をもった脚本が挙げられ、その一つ一つに受講者全員で意見を出し合っていった。

「年齢設定をもう少し低くしたほうが良いのではないか」「30分よりも半分にした方がいい」「最後にセリフで説明してしまうのが勿体無い」「外見を変えるというだけでは弱いのでは、もっと内面で見せられるものがあるのでは」「このテーマを描くなら、この映画を観て観た方がいいのでは」「回想を無くして描くことはできないか」などの意見があった。

三谷さんからは「この映画で何を描きたいのか。これを描きたい、これは私じゃないとできない!という強いものが欲しい。映画を企画してから完成までは何年もかかるので自分の描きたいものを強く持っておかないと続かない」「もっと人物の迷いや葛藤を見たい」という話があった。

初めて30分ものの脚本を書いた受講生もいたが、しっかりと書き上げていた。今回のレビューを踏まえて、次のレビューに向けて改稿していきたい。

芸能事務所の仕組みを知ることから始めよう
講 師:三谷一夫
ゲスト:調整中

今回は前回に引き続き、柳裕章監督とカメラマンの武村敏弘さんをお迎えしての撮影実習を行った。
1組ずつ前回、考えていたことの振り返りをしていく。振り返りが終わると、2人1組になってストレッチをし、撮影実習へ。

同じ脚本でも、組ごとに捉え方が違うのでまずは1組ずつ動きを確認していく。セリフが言いづらい時は、その原因を監督と受講生で一緒に探って行った。テスト以外の時間でも撮影をしながら監督と受講生との意見のすり合わせは常に行われていた。

芝居に関して「感情を出すときに声を出すというだけの作業になってしまったり相手に遠慮してしまって後ろに下がってしまっている」「声を出せなくてもいいから相手とちゃんと向き合うこと」「目を逸らして逃げない」「芝居が暗いと誰も見てくれない」「フラフラしていたら芝居にならない」などのアドバイスがあった。

また、今回は撮影実習なので芝居だけではなく自分がどう映っているのか、客観的な意識と芝居の意識を両立させる必要があった。意識を両立させることは難しく、カットバックで撮影するときに相手に被ってしまうとその時点でNGとなってしまうため何回もテイクを重ねての撮影となった。武村さんからはカメラが回っていない時間では画角やフォーカスを決めているので俳優たちはフラフラしないこと、とアドバイスがあった。

合計3組の撮影は1組1組時間が過ぎても妥協せずに取り組まれていて、見ている時間も学ぶことがたくさんありとても有意義な時間になった。
最後に監督と武村三から「まだセリフが完璧じゃない人がいたから、セリフは完璧に覚えてくること。これは最低限やっておくこと。そうじゃないと勝負にならない」「いい芝居をしてもカメラに映らないと意味がないから、客観的な意識と芝居の意識を両立させること」とアドバイスがあった。今回の撮影したものを編集してもらいそれを観て、どのように映っていたのか、これからの芝居に繋げていきたい。

映画脚本読解(中級)+演技実践
講 師:三谷一夫