受講者レポート
◾️2025年12月6日俳優クラス⑤
映画監督実習③
講 師:三谷一夫
ゲスト:金子由里奈(映画監督)
今回は金子由里奈監督を迎えてのワークショップ。自己紹介から始まり、想像力を使った課題や短歌 から即興芝居、そして演技課題は監督の最新作である『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』を用い た。最初に監督からは「演技や映画のことはまだまだわからないことばっかりなので、今回お互いに 刺激を受け合えたらなと思っております」とコメント。
自己紹介では全員で円になり、事前に用意していた「自分が大切にしている物」と、その思い出を話 していく。ぬいぐるみや、ストラップ、アクセサリー、手帳など、それぞれの物にそれぞれの想いが 詰まっており、短いエピソードだけでもその人の歩んできた過去がどんなものであったのかが頭に浮かんだ。監督が全員に大切にしているものを聞いた理由として「人は人との関わりだけじゃなくて、 物や言葉などの非人間的な物でも作られている。芝居をする時、美術や小物は初めて見るものだけど、役としては一つ一つの物に思い出があって手に馴染んでいる。シーンに書かれていない外側では 物をどうやって育てているのかを考えると芝居が豊かになると思っているから」と語った。
次に想像力を使った課題。監督がビニール袋をクシャクシャにして中央に置き「色んな角度から見てみて何に見える?」と質問を投げかけた。受講生たちからは「うさぎが寝ている、仕事終わりの人が 投げたビニール袋、魚の骨、漂流物」など様々な回答が。ただのクシャクシャに丸められたビニール 袋が、見る人の角度や感性によって色々なものに生まれ変われるのだということを実感し、想像する ことの無限の可能性を感じた。短歌を用いた即興芝居は、先ほどの想像力を使った課題で、想像した内容に共通しない人同士でグループを作り「風という名前をつけてあげました。それから彼を見ないのですが」という短歌から話を作りあげた。課題の短歌は5グループとも同じなのに、グループごと に考えることや選ぶ言葉が違った。想像から生まれた即興芝居を、見ている方もそれを想像するというように想像の連鎖がその空間を包んでいた。
そして芝居へ。課題は、麦戸ちゃんと七森が自分の身 に起きた出来事や気持ちを打ち明けるシーン。監督は芝居に入る前に、どのように解釈したのかを受講者と共有していく。芝居中は、監督が気になる点があれば芝居を止めた。指摘が多かったものとし て、体の使い方や「感情を息で表してしまっている」「言葉を喋っている」などが挙げられた。これまでのワークショップでも呼吸や息の使い方についての指摘があった。これまでの指摘は、普段の生活で無意識にしている息が芝居になるとできなくなるので意識してみるというもの。しかし今回の指摘は「感情を息で表してしまっている」という、日常ではしない癖が芝居に表れてしまっているというものだった。同じ息についての指摘でも、意識すべき視点が全く違うことを学んだ。
また「言葉を喋っている」点に関しては「セリフを喋っている時に自分との戦いになってしまって相手を意識して芝居ができていないから、今を意識することや準備して忘れることが重要」だとアドバイスがあった。そして、体の使い方に関しては七森の場合「自分の存在自体を怖がらせてしまうと思っているか ら、あぐらや足を開けた座り方は違う」と語り、相手を意識するのは言葉だけではなく体の使い方で も意識することが大切だと学んだ。他にも芝居が「芝居っぽく」ならないためには想像力の調整が必要だというアドバイスもあり、想像や言葉など、目に見えないものを相手にどう届けるかを意識したワークショップになった。
三谷さんからはセリフを相手に聞いてもらえているのかを気にすること、 そこで生まれる「揺らぎ」が見れたら良い芝居になる、とコメント。これまでのワークショップを経て、受講生個人の課題が明確になってきたのではないかと思う。様々な芝居へのアプローチがある中で、どう改善していくのか。1つ1つ丁寧に芝居と向き合っていきたい。