受講者レポート
◾️2025年12月7日 俳優コース⑥
映画脚本読解(基礎)②
講 師:三谷一夫
今回は芝居課題はなく、前回同様、三谷さんによる『夏がはじまる』と『フラガール』を用いた脚本読解のみの授業だった。『夏がはじまる』に関しては、前回は脚本の核心を掴んだので今回は役の核心を掴むために取り組めることとは何か、に重点を置いた。まず1つ目は人物が明るい人なのか頑固な人なのか、というようにどんな人物なのか「キャラクターを箇条書きする」こと。
2つ目は役の人物が生きた時代の空気感や、場所、生活、職業、など「背景を調べる」こと。では何を用いて背景を調べるのか。三谷さんは「本や写真、絵画、音楽、インターネットなど。音楽は特に時代の気分を反映していたりするのでその時代にどういう音楽が流行っていたのかを調べるのも一つの手段だ」と語った。
3つ目は人物の生い立ちや、トラウマ、思い出など「履歴書やエピソードを作ってみる」こと。エピソードは想像でしかないが、学生の時に何があったのか、誰にいつどのようなことを言われたのかなどを考えてみること。
4つ目は人物がどうしたい人なのか、どういうことをやりたいと思っている人なのか「目的・願望・欲求を考える」こと。脚本に書いてあることではなく、本当はこういうことをやり遂げたい、というように「根っこにある部分」を考えること。最後に、この人は布団に入って寝る前に何を呟くのだろうといった「呟き」を考えること。これらを踏まえ、『夏がはじまる』の人物像を読み解いていく。受講生の多くが行き詰まったのは「エピソード」と「呟き」だった。エピソードは曖昧にしていると人物がはっきりしてこないので、具体的に考える事が重要。「具体的に」という部分が難しく言葉に表すのがうまくできなかった。呟きに関しては、普段の生活で言うかもしれないが意識して呟こうとは思わない。呼吸と一緒で、無意識にしていることを考えることが難しく感じた。
他にも脚本を読み解く前の基本作業として、その作品の監督が他にどんな作品を撮っているのか、脚本家の生い立ちなど「映画の作り手たちの思考をチェックすること」が大切だと学んだ。俳優は映画制作の中でも一番遅くに脚本が渡るため、より作風を知っておくためにも制作人の好き嫌いだったり作品の世界観を掴んだりなど、人に興味を持つことの重要性を知った。
『フラガール』では、受講生が考えてきた3行ストーリーや主人公の目的・願望、外的葛藤や内的葛藤を共有し、脚本の核心を掴んでいった。主人公を考えた時に、フラダンス講師のまどかと炭坑町で育った紀美子の2つに分かれた。ここで重要なのは、作り手たちはどちらの人物の生き方を観客に見せたかったのかという事と人物の心の揺らぎの幅を考えることだ。これらを考えた時、主人公は「紀美子」と捉えた方が、脚本の核心に近づいていきやすくなるという結論に至り、脚本読解を進めていった。
今回2つの脚本を通し、作家の表現したいことを考える習慣や考えたことを文字や言葉にすること、作品と徹底的に向き合うことの大切さを感じた授業となった。また、俳優は作品と向き合う際「役作り」を行う。役作りというと、体を鍛えたり絞ったりなどの外見に意識が向き、役を作った気になってしまうこともある。しかし、大切なのは中身で「人生で経験したことで、その人の奥に内面化されたもの」を考えることや、本を読んだり映画を観たり、人物を知ったりなど多面的にアプローチをすることも重要だということを改めて実感できた。