1月24日俳優

受講者レポート

◾️2026年1月24日俳優クラス
映画監督実習⑦
プロのカメラマンを迎えて撮影実習
講 師:三谷一夫
ゲスト:柳裕章(映画監督)&武村敏弘(撮影技師)

今回は、柳裕章監督とカメラマンである武村敏弘さんをお迎えしての撮影実習だった。課題の作品は監督の最新作である『事実無根』を用いた。課題は星が事実を明らかにするために弁明するシーン、娘の悠美が過去の想いを爆発させるシーンを2つに分け、計3つの場面に振り分けられ、それぞれのシーンに取り組んでいった。いつもとは違う形式の撮影実習からか、受講者の身体には硬さが感じられ、それを見た監督は全員でストレッチをするように促した。そのおかげか、少しリラックスすることができ、早速撮影実習へと移った

映画の現場と同様に段取りから始まり、監督が演出をし、本番という流れで行われた。星が事実を弁明するシーンの段取りでは多くの組が「感情が出し切られていない」「まだまだ足りない」と指摘を受けた。監督は「他の監督だったらOKを出すかもしれないけれど、僕の場合は足りない」と語り、受講者は監督によって演出の違いが大きく変わり、それに素早く対応していくことの難しさを実感した。

本番が始まると、セリフを間違ったり演出通りに動いたりと順調に進んでいると思われたが、途中でカットがかけられた時があった。その理由としては、2人の対話のシーンをカットバックで撮影している時に、2人が重なってしまっていたからだった。武村さんからは「カットバックの時にカメラのレンズが見えていない時は、自分は映っていないから、レンズが見えるところに移動しないといけない」と語り、芝居に集中しつつもカメラの位置までをしっかりと把握しておくことの難しさを実感した。また、バストアップで撮影をしている時にも一つ注意点があった。それは、身体が揺れてしまっていること。緊張からか、無意識に揺れてしまっていた。

カメラの前にしっかりと立つこと、その場にその人物として存在することは、一見簡単なように思うが「役」よりも「自分」で感じる五感が勝ってしまう。目の前の相手や物を見つめ、言葉を聞き、それを受けて発信するまでに使う集中力がいかに大切なのかを実感できた。悠美が過去の想いを爆発させるシーンでも「感情が出し切られていない」という指摘を受けた。それと同時に、周囲の受けの芝居にもアドバイスがあった。4人で悠美を囲い、悠美の爆発した想いを受け取っているはずなのに誰1人動かずじっと見つめているだけで、結果的に悠美1人だけが芝居をしている状態になっていた。

情を爆発させることを邪魔してはいけないということだったり、カメラのことを考えると動けなくなってしまったことから、ここでも相手から受けることに集中しつつもカメラのことにも集中することが重要になった。そして、感情を爆発させている人だけが芝居をするのではなく、その周りにいる人物も心を動かし、一体となってその場の空気を作りその場に存在することで一つのシーンが完成するのだと改めて気が付いた。

最後に柳監督からは「今日指摘したことは明日できるようにはならない。俳優業でもそうでなくても一日にして成らず。自分はこういう人間だと決めつけてしまうと、そこで終わってしまうので家にいる時の自分や外にいる時の自分、引き出しを増やしておくこと」とアドバイスがあった。武村さんからは「今回は自由に動いてもらってそれを追うようにカメラを振っていたけれど、場合によってはカメラを振ってしまった時点でNGになってしまうことがあるので、決められた画角の中でいい芝居をするにはどうすればいいのかを考えながら今回の映像を見て欲しい」とアドバイスがあった。

初めてカメラの前に立った人もそうでない人も、新しい芝居の取り組み方を学べた時間となった。